
カスタマーエデュケーションとは?
カスタマーエデュケーションと聞いて、皆さん何を思い浮かべますか? ? 導入トレーニング? 大抵眠くなる社内研修? 完了必須なeラーニングプログラム??
カスタマーエデュケーションは、米国では大きな1つの市場として熱い分野です。エデュTech市場の中のカスタマー向け、と言った方が分かりやすいかもしれません。いずれにしても、つまらない資料・研修の話でなく、先端のテクノロジーを使い今どきなインターフェイスで楽しく効果的かつナチュラルに学べるサービス市場のことを米国では意味します。
これがカスタマーサクセスを進める上でとても有効、というかカスタマーサクセスをスケールさせるには必須だね!という議論が、ここ米国のカスタマーサクセスな人たちの間で最近ホットです。
問題は、それをカスタマーサクセスな人たちが自分たちだけで始めようとした場合です。
どういうことかというと、まずそもそもカスタマーエデュケーションは、以下5つのコンポーネントに分解されると思います:
1)コンテンツ
2)コンテンツマネジメント
3)ラーニングマネジメント
4)コミュニケーション
5)モチベーション
1)はより分かりやすいものを創る要素、2)は社内に散在するコンテンツを一元管理し欲しい人が欲しいタイミングかつ見たいフォーマットの最適コンテンツに苦労なくたどりつける要素、3)は1人ひとりのアダプティブ・ラーニング要素、4)と5)は・・・説明不要かな(笑)、がとても重要です。
その上で、これらは従来 マーケターと呼ばれる人たちが得意な領域と大きく被るのです。
にもかかわらず、カスタマーサクセス先進国の米国でさえ、カスタマーサクセスとマーケティングの間には未だ大きな溝があって連携があまりスムーズではありません。しかし本来は、この領域はマーケな方々が専門スキルを発揮し、サクセスな人たちと一緒に展開するのが最も効果的かつ効率的なのです。
そういう議論で盛り上がったイベントをレポートしてくださったスメルさんによるmediumへの寄稿記事を以下にご紹介します!
注:著者Sumeru Chatterjee氏の許可を頂き原文の和訳を紹介します
カスタマーエデュケーション・・・って、いったい何?
カスタマーエデュケーションって、カスタマーサクセスマネジャー的に抑えておくべき最新バズワード? そもそも何? やるメリットあるの? どんな会社でもやるべき?それとも超成長中のスタートアップの話?etc…. について先日、サンフランシスコのClearbit社の本社に集まって議論しました。
パネリスト
アダム・アブラメスク氏: カスタマーエデュケーション責任者 @Checkr
アレッサンドラ・マリネッティ氏:カスタマーエデュケーション ディレクター @Box
クリステン・スワンソン氏:スタッフ責任者、カスタマーエクスペリエンス @Slack
ミートアップ主催者ジョン・パン氏:カスタマーサクセスディレクター @Optimizely
関心最大な質問:カスタマーエデュケーションとは?
この質問に答えるには、まずはカスタマーエデュケーション “ではないもの” についてお話しする方が早そうです。
カスタマーエデュケーションは、トレーニングプログラムの企画や資料の作成といった個別タスクのことではありません。それは「カスタマーサクセスは四半期会議のことではない」と言うのと同じです。
アダム
カスタマーエデュケーションは、カスタマーサクセスをスケールさせる素晴らしいプログラムです。
具体的には以下の領域を加速します:
– アダプション
– 最適ドキュメンテーションの活用
– コミュニティを介したユーザー同士の繋がり
クリステン
皆さん、ユーザーさんがプロダクトを使うのを見て、「ああ・・待ってぇ!そのボタンはクリックしないで!」って思ったことありますよね?! ユーザーさんにとって、そういう小さなギャップを解消できたら最高でしょう?! カスタマーエデュケーションは、そういう小さなギャップを大規模に解決するものです。
質問:カスタマーエデュケーションへ投資しようと会社が決めたのはなぜ?
クリステン
エデュケーションは当初からずっと、Slackというプロダクトの中核でした。そもそもトップが始めたことで、今ではプロダクトの至る所にエデュケーション要素が埋め込まれています。
実は正式にエデュケーション部門を立ち上げたのは約1年前です。ユーザーさんが実際どういう方向に向かいがちかを調べ、スケールを効かせたエデュケーション策のベータプログラムを考えて開発しています。
アダム
カスタマーエデュケーションは、カスタマーサクセスマネジャーの人数や力技だけでそのギャップを埋めることができなくなった時に、スケールをきかせる原動力として検討すべき機能です。だいたいシリーズA〜Cの間、社員70〜300人の間のどこかです。
カスタマーをサポートする人たちをアカウント数の増加の比例して雇用し続けるのは不可能なので、効率性の追求という点で検討すべきことです。
アレッサンドラ
私がLinkedInにいた時も全く同じです。
プロダクトチームは、「うちのプロダクト(LinkedIn)は超使いやすいんだぜぃ!」と常に言います。でも、私たちがカスタマーから見聞きするすることは全く正反対です。要は、カスタマーサクセスチームがエデュケーションへ投資することを決めるのは当然の成り行きでした。
質問:素晴らしいカスタマーエデュケーションチームってどんなチーム?
アレッサンドラ
それは戦略次第だと思います。トレーニング戦略によっては、トレーナーに投資するかもしれないし、テクノロジー(例えば、学習管理システム)に投資するかもしれない。最も重要なのは、カスタマーエデュケーションの「成功」をどう測定するかです。
アダム
カスタマーエデュケーションの要諦は基本的に3つ ? 即ち、開発、デリバリー、測定です。基本的に、何でもこなせるジェネラリストをアサインするのがベストですが、チームの人数を増やす時はこの3つをベースにどういう人を追加で採用すべきか考えるとよいでしょう。
1. デザイン(指導方法の)のコツは、カスタマーサクセスマネジャーから最も重要な情報を聞き出して、それを簡潔で再現性あるコンテンツに変換することです
2. デリバリーのコツは、トレーナーやテクノロジーを介して、カスタマーにとり最も価値あるコンテンツをスケーラブルな方法で提供することです
3. 測定 – まず、これは非常に重要なことです。簡単でなく、実際とても難しいため、無視されたり過小評価されやすいです。コツは、簡単なものから始めることです。私の場合、発見可能性(コンテンツがどれくらい簡単に見つけられたか?)と役立ち度(役だった/役にたたなかったなど、どう評価されたか?)から始めました。簡単なことから始め、徐々に洗練させていくことです。
クリステン
あなたがもしカスタマーエデュケーションの機能強化に着手したばかりなら、まずはユーザーにとって “トリッキーな改札口(訳者注:オロオロ迷ったり間違いやすい所)”を発見し、改善を試みてください。ユーザーの気持ちになってどうすればよいか考え、エデュケーション機能を追加し、その効果を観察してみてください。
質問:エデュケーションチームはカスタマーと接点あるカスタマーサクセスチームなどの他チームとどう連携する?
アダム
カスタマーから寄せられる同じ質問に何度も繰り返し答えるCSMは何人いますか? すべての新規カスタマーごとに毎回同じ導入トレーニングを行いますか? カスタマーエデュケーションチームは、そういう仕事にスケールを効かるのに役立ちます。結果、以下のような効果があります:
・カスタマーサクセスマネジャーは、より戦略的な会話に時間を使える
・ブランド価値を高め、カスタマーがあなたの会社により高い信頼感を覚え、ライフタイムバリューがアップする原動力になる
・カスタマーがより良い習慣を身につけるようになる
クリステン
カスタマーエデュケーションは、カスタマーサクセスマネジメントというジェット機の燃料だと思います。 カスタマーとより良い関係を、よりスピーディーに構築するのに繋がることです。
質問:営業やマーケティングの人たちとは?
クリステン
無料プロダクトから有料プロダクトへシフトするカスタマーは、プロダクトの利用がこ慣れている人たちほど高い確率で「ええ、エデュケーションに投資します」と言います。結果として、営業やマーケティングチームはカスタマーエデュケーションに関わる機会が減ります。
アダム
昔ながらの「プロダクトトレーニング」ではなく、「働き方改革トレーニング」にすることです。そうすれば、昔ながらの「アカウント管理」から「生涯使い続けてくれるチャンピオン育成」にシフトできます。
HubspotとTrailheadがよい例です。彼らは業界人向けに特化した濃いトレーニングプログラムを提供していて、結果、1トン級のリードを創出しています。
その他のアドバイス:
・営業担当者にトレーニングプログラムの正確な価値を与えましょう。そうすれば彼らは営業時にそれらを差別化要素として活用できます
・有料のトレーニングサービスを提供する場合、営業担当者がそれを営業(販売)できるようにしましょう
質問:カスタマーサクセスがカスタマーエデュケーションを重視するようになるには何が必要?
アレッサンドラ
それは簡単です。カスタマーを教育することが、いかにカスタマーサクセスチームや営業チームの役に立つか考えてみれば一目瞭然です。
アダム
3つあります:
1、カスタマーサクセスのKPIを大きく改善できる、という確信がなければカスタマーエデュケーションを考える必要はありません
2、あなたの時間をどうスケールを効かせられるか考えましょう – トレーニングの録画やウェビナーの実施など、実際にやるとなると不快感もある大変なことです
3、指導法デザインの原則と生涯学習について学びましょう。それは、あなたの人生の多くの局面でも役に立ちます
質問:カスタマーエデュケーションの強化に着手したいカスタマーサクセス責任者へのアドバイスは?
現在、カスタマーエデュケーションプログラムがない場合、まずはカスタマーサクセスマネジャーの主要なペインポイントに注目しましょう。そしてカスタマーエデュケーションがそれらペインポイントをどう解消でき、どう役立つか考えてみてください。
まずは小さな成果に集中し、アイデアを試してみて、データとフィードバックを集めることです。それを何度も繰り返し回していくことです。
会場の質問:カスタマーエデュケーションについて学べるリソースはありますか?
「カスタマーエデュケーションヒーローズ」という名まえの緩いチャンネルがあります。ビジネスパーソンが常に最新かつ最高のオンラインチャットをしています。 ここから無料で入れますよ!
もう少しフォーマルな情報ソースとしては CEdMAという組織があります。カンファレンスを開催しています。
会場の質問:2Bカスタマーに「カスタマイズトレーニングは必要ない」という点を納得してもらうにはどうすればよいでしょう?
トレーニングに値札を貼りましょう。カスタマーに「本当にトレーニングのカスタマイズが必要ですか?」と追求してください。彼らが心から特別なニーズがあると信じているなら、追加コストでカスタマイズトレーニングを別注してもらいましょう。