テックタッチなカスタマーサクセスの進め方(前編)

注目の「カスタマーマーケティング」な領域です!

 

日本語で「1対多」と訳しましたが、オリジナルの英語では「One to Many」と呼ばれるこの領域。実は米国カスタマーサクセス業界のイベント等で大変人気のあるトピックの1つです。上手く実施できれば効果絶大、正にカスタマーサクセスのスケールを効かせられる領域だからです。

 

先の記事(「カスタマーサクセスの成果(アウトカム)を出す方法:3ステップ」)で好評だったクリステンさんによる同トピックの記事をご紹介します。相変わらずコンパクトながらエッセンスが詰まっていますよ!

 

注:The Success League社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


 

「1対多」モデルのカスタマーサクセス(前編)

 

世の中に山ほどあるカスタマーサクセス記事はそのほとんどがハイタッチモデルを前提としています。例えば、どんんな指標を測定すべきか、どうカスタマーと接点をもつべきか、何人カスタマーサクセスマネジャーを採用ぶべきか、などです。

 

しかし、必ずしもすべての会社がハイタッチモデルを前提としているわけではありません。ビジネスモデル的にハイタッチモデルが非現実的な場合はどうしたらよいでしょう? あるいは、ブランドやプロダクト自体がハイタッチと馴染まない場合はどうすべきでしょうか?

 

カスタマーサクセスにおける「1対多」モデルは、ハイタッチモデルの代替案として広く一般的に実施されています。「テックタッチ」とか、「自動化されたカスタマーサクセス」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。

 

1対多」モデルとは、カスタマーサクセスの取り組みの大部分が、基本的に人間が対面で介在せず、テクノロジーを活用した自動化プロセスに基づくモデルです。

 

では一体、「1対多」モデルでどうやったら魅力的かつ驚嘆されるカスタマー体験を提供できるでしょう? 今回はその点についてのアドバイスをご紹介します。

 

1)カスタマージャーニーの最適マップをつくる

 

どのモデルを採用しようとも、カスタマーサクセスに着手する場合はまずカスタマージャーニーのマッピングから始めます。即ち、オンボーディングの改善機会や、カスタマーの関わりを深める機会、カスタマーニーズを発見する機会などなどに繋がるカスタマー接点はどこか・何か、を具体的に検討し特定しています。

 

この時「1対多」モデルを採用する場合は、カスタマーニーズを予測し先回りした自動メッセージを発信するのに最適なポイントを探します。

 

2)まずは人間で試してみる

 

直観的に真逆に聞こえるかもしれませんが、テックタッチの最良モデルを構築するための最善の方法は「人間で試す」ことです。

 

あるタッチポイントに対しカスタマーがどう反応するかわからない場合、まずは担当者(人間)を介して試してみることで、タッチポイントの会話の効果をテストするのです。この時、テスト会話の内容とその結果をしっかり測定してください。カスタマーライフサイクル上のあらゆるタッチポイントでカスタマーが何を必要としているのかを正確に把握できたら、ようやくそのプロセスを自動化できます。

 

3)正しいツールを選ぶ

 

CRMシステム、ないしは顧客データベース、そして電子メールによるマーケティングプラットフォームと、カスタマーの行動やエンゲージメントトリガーを探すツールが最低限必要です。

 

テックタッチモデルのプログラムの進化に合わせ、カスタマーサクセスのプラットフォームやアプリ内メッセージングシステムなどのツールを追加していくのもよいでしょう。ただし、追加するツールが多ければ多いほど、プログラムの管理作業が増えることに注意してください。

 

4)とにかくテストし続ける

 

あらゆるタッチポイントを自動化した後も、テストし続けることを忘れないでください。 部分的なテストをするだけでも、電子メールの件名と内容を改善するなど、カスタ
マーの関与度をより効果的に深める方法への改善に役立ちます。

 

テックタッチによるタッチポイントがカバーしていないテーマに関わるカスタマーサポートのチケットやコールが発生した時は、ぜひ、新しいテックタッチメッセージの採用を検討し、それによって同テーマのチケット数が減るかどうか確認しましょう。コンテンツ、配信方法、タイミングを常にテストしてください。

 

 

以上4点、とてもシンプルですよね。更に2点ほど補足します。

 

1つは、とにかく小さく始めることです。テックタッチモデルのプログラムをゼロから構築する場合、まずはカスタマーライフサイクル上の重要ポイントに絞って自動対話をいくつか追加してみるだけでも、とても大きな改善効果が上がります。まずはカスタマーが支援を必要とする領域にフォーカスし、そこからプログラムを徐々に拡大してみてください。

 

2つ目は、小規模セグメントに目配りすることです。大きなカスタマー基盤の中で存在感の薄い小規模セグメントの中には、実は人間がちょっと介在することで、リテンションや契約拡大の機会に繋がることが時にあります。こういった小規模セグメントの中には、自動化プログラムを補完するカスタマーサクセスマネジャーの時間を投資する価値が充分ある場合があります。

 

「1対多」モデルのカスタマーサクセスを行う場合、カスタマーに対し「ロボット感」を与えてはいけません。各タッチポイントでのカスタマーニーズをまずは深く理解するのにしっかり時間を取ってからプログラムを開発しましょう。そうすれば、彼らのニーズを先回りした、正にカユイ所に手の届くカスタマー体験を生み出すプログラムに仕上がります。

 

(原文)


「1対多」モデルの具体的な方法をご紹介する「「1対多」モデルのカスタマーサクセス(後編)」も併せてご覧ください!

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