
お陰様で、SuccessJapanの人気No.1 記事「カスタマーサクセス責任者が就任後90日で答えを出すべき3つの質問」が閲覧ビュー2万件を達成しました! いつもご愛読くださっている皆さま、本当に有難うございます!
昨年2017年11月に仮サイト開設以来、皆さんがどのような情報を求めていらっしゃるのか試行錯誤した数か月でした(未だにですが)。少しでもお役に立てているなら本望です。地味にコツコツ記事アップしてきたので感無量です!
記念に、人気No.1 記事でステファニーさんが紹介している、Totango社の共同創業者 オマールさんの伝説的記事「新任カスタマーサクセス担当VPの就任後90日計画」をご紹介します。
カスタマーサクセス担当VPに就任したあなたの90日計画
カスタマーサクセス担当VPへのご就任、誠におめでとうございます! さて新しい職場であなたは今日から何をされますか?
ここ数年、私はこういう状況にあるカスタマーサクセス担当VPと何度も仕事をご一緒しました。
それらの経験を踏まえ、カスタマーサクセス担当VPに就任したてのあなたが、就任後30日-60日-90日に達成すべき計画についてご紹介したいと思います。
最初の30日間:基礎固めをする
カスタマーサクセスVPに着任したばかりのあなたの最初の仕事は、あなたが足を踏み入れようとしている事柄をまずはよくよく理解することです。
それは、現時点のチームの立ち位置を確認し、課題を抱える領域を見つける時間です。新任のあなたにとって、会社の既存カスタマー基盤の現状と健全性を深く深く、正しく理解することがまず何より必要です。
ステップ1 既存カスタマーの基盤を見える化する
契約更新マップを作る:
売上に直結する、という点で言えば、契約更新(≒ チャーン防止)が何より非常に重要です。
重要アカウントの状況は? あなたが時間を使うべき喫緊の重要課題は? 将来対応が必要な懸念事項は?
こういった事柄を1つ1つきちんと理解し、カスタマー基盤の立ち位置全体を理解しましょう。それが出来れば、ひとまず課題の大きな優先順位をつけることができます。
課題領域を特定する:
上述のプロセスを経て、現在の立ち位置が分かれば、対応が必要な課題領域が具体的に浮かび上がっているはずです。
課題領域は、オンボーディング、トレーニング、サポート、プロダクト、エンゲージメントモデル、プロセスなどなど、あらゆるプロセスに関連する可能性があります。速やかに対応する必要がある課題を特定できれば、実行計画も早めに立てられます。
ステップ2 カスタマーをより深く理解する
チャーンしたカスタマーと幸せなカスタマーとを比較分析する:
過去6〜12か月内にチャーンしたカスタマーと、逆に契約更新してくれたカスタマーに注目し、各グループの詳細データを分析しましょう。
重要マイルストーンや重要イベントにおける彼らのカスタマー体験は、関連指標に基づくと、ポジティブでしたかネガティブでしたか?
そういったフィードバックデータをカスタマー接点毎に収集することで、どの指標がカスタマー体験の良し悪しを評価するのに最も適しているか突きとめられます。
チャンピオンを特定する:
チャンピオン(訳者注:プロダクトを最も使い倒してくれているヘビーユーザー)は、エピソードに富んだフィードバックと、彼らの会社がプロダクトをどう利用しているかに関する情報や意見を共有してくれる、とても頼りになる存在です。
カスタマーサクセスのチームメンバーなら誰でも喉から手がでるほど渇望する、正確かつ正直なフィードバックを彼らから提供してもらいたいなら、あなた自身が彼らと直接やりとりすることが必須です。
カスタマーとたくさん会う:
カスタマーと直接会う時間をつくりましょう。とても重要なことです。契約に至らなかったり、チャーンしたばかりの相手でさえ直接会って話を聞いてください。彼らにとって ”新参者” であるあなたの立場を活かし、ぜひ質問をたくさんして、彼らの社内で交わされた議論や起こった事柄について色々と教えてもらいましょう。
それは “売り込み” の時間ではありません。逆に収益に直結しませんが、これまで上手く出来たこと・できなかったこと、今後より良くするのに必要なこと、などを深く理解する貴重な時間です。
ステップ3:チームの詳細を確認する
チームの活動を分析する:
就任直後の最初の30日間は、あなたのチームメンバー1人ひとりをよく知り、チームとしての長所と短所を正しく理解・把握する期間です。
あなたが取り組むべき課題、プロダクトの複雑さ、チームメンバー個人の役割と責任、給与システムなど、あなたがチーム編成を再検討・再構築する際に知っておくべき重要な事が山ほどあります。
最初の60日間:行動計画をつくる
現況を把握したら、次は具体的な行動計画を立てましょう。30日間で学んだことに基づき、即対応することで大きな成果がでる領域と、解決に多くの時間が必要な大きな課題とを分けた上で、その両方に取り組みましょう。
ステップ1:カスタマージャーニーを定義する
カスタマーセグメンテーションを決める:
既にセグメンテーションが定義されている可能性が大ですが、それが適切かどうか、あなたが判断する必要があります。
セグメンテーションは、チームがカスタマーとやり取りする方法を規定するだけでなく、プロダクトの利用状況を評価する方法を決めるのにも使うとても重要なものです。
カスタマージャーニーを定義する:
これまでに学んた重要マイルストーンと重要イベントを踏まえ、先に決めたセグメントごとに、時間をかけてカスタマージャーニーを定義しましょう。とても重要で必要不可欠な作業です。
カスタマーはどのようなプロセスを経てプロダクトを沢山利用するようになるのか? その過程でチャーンに至る or 回避するためのアクションは?
ステップ2:早期警戒システムを導入する
セグメンテーションとカスタマージャーニーを定義したら、次は受け身でチェックインを待つのではなく、すぐ問題に対処できるよう、既存カスタマー向けアラートを設定しましょう。
こうした早期警告システムを導入することで、契約金額の大きいアカウントだけでなく、援助を必要としているアカウントにも注意を向けることができます。
ステップ3:経営ダッシュボードを作成する
あなたのチームが周囲を巻き込みながら良い仕事をするには、カスタマーサクセスの効果をどう測定し、その結果をどうコミュニケーションするのか、良い方法を考えて具体的に決めることが不可欠です。
なるべく周囲と議論しやすいよう、注目すべき重要な指標とその進捗状況がハッキリ分かりやい形で表示される、経営ダッシュボードを用意しましょう。
何が重要な指標なのかは会社・事業によって異なりますが、一般的には、カスタマーの全般的ヘルススコア、チャーン率、リテンションコスト、ポートフォリオ・スコア、エンゲージメントなどに注目します。
ステップ4:エンゲージメントモデルを設計する
既存カスタマーの基盤を正しく把握し、その状態を測定するプロセスが決まったら、今度は、カスタマーサクセスマネジャーが彼らといつ・どう “やり取り” するのかを決めましょう。
例えば、オンボードで問題を抱えているカスタマーがいた場合、問題を解決して軌道修正を図るにはどのようなツールを活用する必要があるか? 契約更新が予定されているカスタマーに対し、確実に更新してもらえるようにするには、特別なミーティングが必要か?などを検討し、具体的に何をするのかを決めます。
最良の方針はカスタマーサクセスマネジャーが個別に決断することですが、一般的に検討される “やり取り” 例は以下の通りです。
QBR(四半期ビジネスレビュー)
カスタムアカウントの可能性が高いハイタッチ系カスタマーに有効な、定期的に実施するレビュー会議の開催
アンケート調査
定期的なタイミング、あるいは特定のカスタマー接点があったタイミングでカスタマーからフィードバックを収集する負担の少ない簡易調査の実施
ミーティング
カスタマー社内で起きていることを理解したり、各社の主要な利害関係者と関係構築したりするためのF2F打ち合わせ
アドバイザリーボード
ロードマップを決めるのに役立つカスタマーの生の声を共有してもらうための、重要カスタマーとの会議
トレーニング
新機能のリリースや新規ユーザーのオンボードに向けた諸トレーニング・プログラムの実行
Webセミナー
カスタマーがプロダクトを順調に使いこなせるようになるのに有効な、1対多向けプレゼンテーションセミナーの開催
ステップ5:最高のチームを作り、各自が得意分野の専門性を極める
問題が大きくなる前に課題の芽を見つけて摘みとることを心掛けてください。必要に応じ、新しいカスタマーサクセスマネジャーを採用したり、より技術的な問題に対処できるカスタマーサクセスエンジニアを採用します。
プロダクトをもっともっと利用してほしい既存カスタマーがいる場合、そういう人たちに効果的なレーニングを用意して実施する必要があります。同時に、カスタマーサクセスチームの誰がどのカスタマーへどれだけ時間をつかうかの配分も見直してください。
最初の90日間:効果的かつ反復可能でスケーラブルなプログラムを設計し実行する
改善領域を具体化でき、改善に向けた行動計画もできたら、いよいよチームが実行するプログラムを設計する番です。良いプログラムを用意することでチームが組織的に行動できれば、全体としてより多くより効果的に既存カスタマーとやり取りできます。結果として、チームは更に積極的に動けるようになります。
ステップ1:カスタマーサクセスプログラムを始動する
カスタマーがプロダクトを使い慣れて期待成果を手に入れられるまでの道のりを支援するプログラムを具体的に用意しましょう。そしてプログラムを実行している最中は、少しでも多くの価値、少しでも優れたカスタマー体験を提供できるよう、全力をつくしてください。
プログラムを実行することで、既存カスタマーの潜在的なチャーンリスクを把握し抑制するだけでなく、潜在的な成長機会も見出されるようにしましょう。
ステップ2:仮定を立て実行し、測定して分析する
カスタマーサクセスチームのパフォーマンスをもっと上げられると思われる重要な領域をいくつか見つけ、フィードバックループを継続的に回すことが重要です。計画を実行しながら、同時に実績とその効果に関する情報を収集・分析し、計画そのものをブラッシュアップしていく必要があります。
改めて、カスタマーサクセス担当VPへのご就任、誠におめでとうございます。上述の内容が、皆さんの新しい挑戦のお役に立つことを願っています。